遺留分減殺請求の消滅時効

遺留分を主張されても困る

6年前に亡くなった父の相続問題で、弟と未だにもめています。

父が土地を生前贈与していたことがわかったときは

弟に「財産隠し」と言われ、遺贈も無効だと言われたうえに、

先日は、自分には遺留分があるはずだと主張してきたのです。

こう対処せよ

弟が、生前贈与や遺贈の事実、

減殺請求できることを知ったのがいつかを調査し、

消滅時効援用の意思表示をする。

解説 ~減殺請求権はいつ時効により消滅するか?~

遺留分減殺請求権は、

遺留分権利者が相続の開始と

減殺すべき贈与・遺贈があったことを知ったとき(この時点を「起算点」と言います)から

1年間で時効により消滅します。

 

問題は、どのような場合に「知った」と言えるかです。

裁判例は、贈与や遺贈の事実を知っただけではダメで、

減殺できることを知ったときから1年と解しています。

したがって事例では、弟が生前贈与や遺贈があったことを知ったのが、父の死亡直後であっても、

その贈与された財産について遺留分減殺請求ができることを知ったのがつい最近であった場合には、

遺留分減殺請求権はまだ時効になっていないことになります。

さらに、弟は生前贈与や遺贈を無効だと主張していたため、

遺留分減殺請求ができるとは思っていなかったのかもしれません

(遺留分減殺の主張はあくまで生前贈与や遺贈が有効であることが前提です)。

 

しかし実際上は、生前贈与や遺贈があったことを知っていれば、

遺留分減殺の請求が可能だとういうことを認識できたと思われるケースも少なくありません。

特に被相続人の財産のほとんど全部が贈与されていたような場合には、

弟の側が、なぜすぐに遺留分減殺請求をしなかったのか説得力ある理由を求められます。

 

つまり、遺留分減殺請求の消滅時効の起算点がいつと判断されるかは

具体的な事情によって異なるものであり、

遺留分減殺の主張をされた兄の側としては、

とりあえず消滅時効を援用する意思表示をしておくべきです。

 

なお、相続開始時から10年経過した後に遺留分減殺請求をされた場合には、

除斥期間の経過を主張することができます。

この場合は、弟がいつ贈与の事実を知ったかといったことは問題になりません。

除斥期間と消滅時効は似ていますが、

裁判時の消滅時効の場合には当事者が援用しなければなりません。

しかし、除斥期間の場合には、当事者が援用しなくても、

裁判所の職権によって権利消滅を判断できるとされています。

遺留分減殺請求する側の対処法 

逆に遺留分減殺請求をする弟の側に立てば、

生前贈与や遺贈が無効だと信じていても、

念のため、万一生前贈与や遺贈が有効だとすればという条件付きで、

遺留分減殺請求権を行使する旨の意思表示もしておくべきということになります。