遺留分に反する遺言

遺留分に反する遺言は無効だと主張された

夫が亡くなりましたが、私たち夫婦に子はいないため、

私と夫の母の2人が相続人になります。

夫の遺言は、不動産と現預金はすべて妻である私に、

株式を義母に遺贈するとの内容でしたが、

株式の価額は全遺産の10分の1にも足りません。

義母は「そんな遺言は無効だ」と言います。

こう対処せよ

遺留分を支払って、遺留分相当分以外の

遺産については遺言にしたがって

自己のものである旨を主張する。

解説 ~遺留分に反する遺言は無効か?~

相続人の遺留分を侵害する内容の遺言であっても、その相続人が遺留分を主張しなければ、

遺言どおりの遺産分割がなされることになります。

相続人の遺留分を侵害する内容だからといって遺言自体が無効にはなりません。

しかし当然ながら、遺留分を侵害された相続人が遺留分を請求してきた場合にはその侵害分を支払うことになります。

 

事例では、義母の遺留分は6分の1になるため、まず被相続人の財産の価額を計算する必要があります。

妻が相続した不動産及び現預金と、義母が相続した株式のみが夫の遺産であり、

相続債務はなかったものとすると、相続開始時(つまり夫の死亡時)における不動産や株式の評価額を計算します。

次に、これに現金と預金の額を加えます。

(※厳密にいえば、定期預金などについては、死亡時に解約した場合の利息も

金融機関に計算してもらう必要があります)

夫が生前贈与をしていれば、その分を加算すべき場合もあります。

 

こうして計算した被相続人の財産の価額がたとえば3000万円の場合、

義母は6分の1に相当する500万円の個別的遺留分を有していることになります。

そして、義母が遺言によって実際に相続した株式の価額が200万円であれば、

差額である300万円分の財産を義母に渡すべきということになります。

 

ところで、300万円分の財産といっても、

不動産の共有持分を義母に譲り渡すことになるのは困るというケースも多いでしょう。

このような場合には、300万円を実際に支払って済ませることも可能です。

これを「価額弁償」といいます。

ほかの相続人の遺留分は侵害しないように 

本事例と異なり、ほかにも遺贈を受けた相続人がいたり、

相続人以外の人が生前贈与を受けていたりすると、

遺留分減殺請求の相手方は誰になるのか、

いくらずつ請求することになるのか、かなり複雑な計算になります。

争いを避けるためには、生前贈与や遺贈をする際にも、

遺留分を侵害しないよう留意したほうがよいかもしれません。