私は仲間3人と現在の会社を立ち上げ、株式も私が40%、
ほかの2人が30%と分散して所有していましたが、
ほかの1人が亡くなり、相続人から、
第三者に売却されたくなければ買い取れと法外な値段を請求されています。
会社が買い取りをする旨を通知して、
金額について不当に高い場合には、
裁判所に価格決定を申立てる。
上場企業であればともかく、多くの会社においてはその株式には譲渡制限がついています。
譲渡制限とはその字のごとく、株式を譲渡するには会社の承認を要するとされている株式です。
この譲渡制限は、会社にとって株主として参加してほしくないという者を排除することを目的とされています。
しかし、会社としてはただ、株式の譲渡を拒否していればよいわけではなく、譲渡を承認しない旨を決定したときは、
会社自身でこの株式を買い取るか、または買取人を指定しなければなりません。
そして通常の場合、譲渡制限が付いている株式の新たな引き受け手を見つけるのは容易ではなく、
結局は、会社自身が買い取る必要があります。
なお、会社が譲渡承認請求の日から2週間以内にこれを承認するか否かの通知をしなかったときは、
譲渡を承認したものとみなされてしまいます。
株式を譲り受ける者が普通の人(法人)であれば問題ありませんが、
相続でもめているときなどはわざと会社にとって好ましくない者に譲渡したりします
(また、本当は譲渡していないのに適当に譲渡契約書などをでっち上げて会社に揺さぶりをかけたりします)。
そこで会社としては、何とか譲渡してもらいたいがために、「ほかに譲らないでくれ」「買い取らせてくれ」と
頼むことになりますが、その場合、法外な言い値に屈してはいけません。
売買価格は当事者間の協議によることが原則ですが、協議が整わなければ、
裁判所に対して売買価格の決定の申立てを行えます。
裁判所において株式の買取価格を定めるについては
①収益還元方式
(将来期待される1株当たり予想純利益を、一定の資本還元率で資本還元する方式)、
②配当還元方式
(その株式を所有することによって受け取る1年間の配当金額を、一定の利率で還元する方式)、
③純資産価格方式
(会社清算後の株主の手取額を株価とする方式)、
④類似業種比準方式
(類似業種の平均株価並びに1株当たりの配当金額、年利益金額及び純資産価額の
3つの要素を類似業種と比準して計算する方式)
などがあります。