父が亡くなりましたが、父は昔からずっといくつかの金融業者から借金があり、
返済はきちんと定められた通り行っていました。
私は借金を負うつもりはないのですが、相続放棄するしかないでしょうか。
財産調査をして、本当に払うべき債務があるのか確定したうえで
相続放棄するかどうかを決定する。
前提問題として、子自身が作った借金ではないため、相続放棄をすれば、
悪徳業者であろうが優良業者であろうが、借金を父に代わって返済する必要はありません。
しかし、父にほかの財産がある場合に、みすみす相続放棄をしなければならないのも納得がいかない話です。
そのため、財産調査をする必要があります。
しかし金融業者といってもいろいろあるため、ケースに分けて説明します。
1.ヤミ金のケース
ヤミ金とは、出資法の上限金利をも超える違法金利で貸付を行っている業者のこと言います。
これは、犯罪行為でもあり、まともな貸金業者ではありません。
そもそも、ヤミ金業者に対しては元本も返済する義務がないとする判決もあるほどです。
ただし、対応は難しいため、やはり弁護士に依頼する方がよいでしょう。
2.消費者金融やクレジット会社などのケース
クレジット会社やサラ金などの業者の場合には、出資法は守っているが、利息制限法違反の場合が多いため、
利息制限法の制限金利に引き直して計算してみて、本当に借金があるのか確認する必要があります。
そのため、各業者から取引履歴を取り寄せ、引き直し計算をして、それで本当に借金がまだ多く残るのであれば、
相続放棄をすればよいでしょう。
3.銀行などのケース
銀行などの場合には、請求額面がそのまま借金になりますが、
念のため、契約書類などを提出させて確認する必要があります。
消費者金融やクレジット会社などの場合には、いわゆる過払いが生じている場合があります。
つまり、利息制限法によると利息を払いすぎて、逆に取り返すことが可能です。
そのため、相続放棄をしてしまうと、ほかの財産はすべて放棄、過払いは取り戻せないと、
二重に損をすることもありえるため、慎重に対応する必要があります。
なお、ヤミ金の場合にも過払いは生じますが、所在などがつかめず、
返還請求することが困難な場合が少なくありません。