母が亡くなりました。
次男・三男はこれまで、全然家に寄りつかなかったのに
今更「家の墓は兄弟3人で守っていこう」などと言っていますが、
私は、弟たちには母の供養や家の墓は任せられません。
自らが最も祭祀承継者にふさわしいことを主張し、
それが認められない場合には調停・審判を求める。
民法では「系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、
慣習にしたがって祖先の祭祀を主宰すべき者がこれを承継する」
「但し、被相続人の指定にしたがって祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が、これを承継する」
と規定されています。
「系譜」とは「家系図」のことを指し、また「祭具」とは「仏像、仏壇、位牌などの礼拝用に使用するもの」を、
「墳墓」とは「遺骨を埋葬する土地、墓碑及び墓地の使用権」を指します。
これら、「系譜、祭具及び墳墓」を総称して「祭祀財産」と言いますが、この「祭祀財産」は相続財産に含まれません。
したがって、相続分や遺留分とも全く関係がなく、相続の放棄をしてもしなくても影響ありません。
ちなみに、遺体や遺骨も「祭祀財産」と同様に扱われます。
そして「被相続人から指定された者」、それがなければ「慣習によって祖先の祭祀を主宰すべき者」が
承継することになります。
ただし、慣習がよくわからない場合で、当事者間の話し合いで合意が得られなければ、
結局、家庭裁判所に調停・審判を申立てることが必要です。
なお、審判になった場合には、「被相続人と緊密な関係にあり、被相続人に最も深い愛情を持つものが
祭祀承継者に選ばれる」とされていますが、内妻と相続人である子とが争ったケースで、
内妻が祭祀承継者となるとされた例があります。
事例では、母の指定があったかどうかわからないですが、長男であり、
しかも、被相続人と緊密な関係にあったため、長男が祭祀承継者となるでしょう。
祭祀承継者は、法要などを執り行いますが、
それを理由にほかの相続人に対して法要などの費用を請求することはできません。
一方、ほかの相続人は、法要などのやり方がどうであるとか、
そもそも法要などを行わないとしてきちんと行うように請求することも、
祭祀主催者を解任することも不可能です。