父が亡くなりました。
父は私を生命保険金の受取人としてくれており、
生前から父は「自分に何かあったら、
生命保険金で音楽の勉強を続けるように」と言っていましたが、
ほかの相続人は、「生命保険金を分けろ」と言っています。
生命保険の証券・約款を確認し、
生命保険金は相続財産に含まれない旨を主張する。
生命保険金というのは、契約者と保険会社との間でなされる「保険料を支払う代わりに、
契約者が死亡した場合には○○に対して死亡保険金を支払う」という契約(このような契約を
「第三者のためにする契約」と言います)に基づいて発生します。
死亡という事象は、相続を発生させますが、同時にこのような生命保険契約の条件をも充足するのです。
それでは、生命保険の証券に受取人の指定が書いてない場合はどうでしょうか。
その場合には、保険の約款を見てください。
通常は、保険の約款には、死亡保険金を被保険者の法定相続人に支払う旨の条項があります。
「法定相続人」などと書いてあるため、この場合には相続財産に含まれるかもしれないと不安に思うかもしれませんが
この「法定相続人」とは、単に受取人をその属性により特定したものに過ぎません。
つまり、生前に被相続人が法定(推定)相続人に死亡保険金を支払ってくれという契約をなした、と考えられます。
このように考えれば、やはり、生命保険金は相続財産に含まれないことになり、
相続財産に含まれなければ遺産分割をする必要はありません。
問題は、生命保険契約で死亡保険金の受取人が契約者(被相続人)と指定されている場合です。
この場合は、契約者の死亡により、相続人が受取人としての地位を相続により承継し、
相続財産としての生命保険金請求権を取得すると考えられています。
そもそも、「契約者死亡に基づく死亡保険金の受取人が契約者自らである」などというのはおかしな話ですが
(受け取れるはずがないため)、まれにこのようなケースがあるためよく確認してください。
相続放棄ができなくなる事由の1つに、「相続財産を処分すること」というものがあります。
しかし、そもそも死亡保険金とは、相続財産には含まれないため、
このお金を使ったからといっても相続放棄は可能です。
そのため、被相続人に借金があるが、死亡保険金が発生している場合には、
死亡保険金を受け取って相続放棄もできます。