父が亡くなりました。
父は生前会社を経営していて、事実上廃業状態ですが、
その会社に対して多額の貸付をしていました。
父の財産にはその貸付金も含まれ、
しかも課税されるようですが、どうすればいいでしょうか。
業績不振により事業を廃業ないしは
6ヶ月以上休業していることを立証する。
中小企業では、社長である代表取締役が会社に対し、
運転資金などとして貸し付けを行うケースはよくあることです。
そして、会社の経営がうまくいって返済(回収)となれば何も問題はないのですが、
会社の業績が思わしくなく、社長の貸付金が事実上回収不能になることもよくあることです。
貸金債権ももちろん相続財産となるため、
たとえば、1億円の貸付金があれば、原則として1億円の預貯金と同様に相続税の課税対象となります。
しかし、実際には
「絵に描いた餅に過ぎない貸金債権に、課税されるのは納得がいかない」
という気持ちは理解できます。
そこで、このようなかかる課税を回避するために、相続放棄をすることが考えられます。
ただ、相続放棄は、相続財産一切について、放棄をするため、
貸金債権以外にも不動産や預貯金があり、これらを相続したい場合には、このやり方はできません。
税務上、貸付金債権などの評価を行う場合に、
その債権金額の全部または一部が、
課税時期(死亡時)に回収が不可能または著しく困難であると見込まれるときには、
それらの金額は元本の価額に算入しないとされています。
業況不振などにより、その事業を廃止しまたは6ヶ月以上休業しているときには、
貸金債権には課税がなされません。
事例の場合には、業績不振により
事業を廃業ないしは6ヶ月以上休業していることを立証するための資料(会社の帳簿など)を整えて、
相続財産から控除してもらえるように申告することが必要となります。
会社について特別清算開始命令、あるいは破産手続開始決定があった場合などには、
会社に対する債権については課税がなされないため、
生前に会社を整理するための手続き、つまり、破産ないしは特別清算の申立てを行います。
もちろん、費用はかかるため、
課税による税金の費用と、会社を整理するための諸費用を比較したうえで行う必要があります。