遺産分割の取り消し

約束が破られたので遺産分割を取り消したい

3年前に父が亡くなり、母、兄、私の3人で協議して、

兄が大学院を卒業したら家業を継ぐという約束で、

父の遺した土地建物を兄が相続するという内容の遺産分割をしました。

しかし兄は卒業後勝手に企業に就職してしまい、

家業を継ぐ約束を反故にしたのです。

こう対処せよ

相続人の全員で合意解除のうえ、

改めて遺産分割協議をする。

債務不履行があった場合、遺産分割協議をやり直せるか?

遺産分割の際、相続人の1人が家業を継ぐ、老親の介護をする、

田畑を耕作維持するといった一定の負担を負うことと引き換えに、

ある遺産を相続するという内容の協議がなされることはよくあります。

しかし、一旦そのような内容の遺産分割協議が成立した後、その約束が守られない場合に、

遺産分割協議をなかったことにできるか、という点が問題になります。

法律的には、負担を負うべき相続人の債務不履行に基づいて、遺産分割協議を解除できるか、という問題です。

 

他の相続人にしてみれば、家業を継ぐと約束したからこそ重要な遺産をその者に相続させたのであって、

家業を継がないのであれば当然そのような遺産分割はやり直すべきと思うでしょう。

しかし裁判例では、負担を負うべき相続人に債務不履行があった場合でも、

一度なされた遺産分割協議は解除できないとしています。

遺産分割には、相続開始時にさかのぼって効力を生じる効力(遡及効)があるため、

遺産分割のやり直しを認めると法律関係が混乱するからです。

もっとも、強制的に遺産分割をやり直すことはできなくても、

約束を破った相続人も含めた相続人全員が遺産分割のやり直しに合意した場合は、

遺産分割をやり直すことができます。

 

したがって、まずは約束を反故にした相続人を交えて話し合いをし、

次に可能であれば遺産分割を解除する、という新たな契約を全員で締結することを考えましょう。

こうして再分割を行うことになった場合には、税法上、または法律上、いくつか注意すべき点があります。

遺産分割協議書作成時の注意点

親の介護を行うというような約束の場合には、一応は面倒を見ているのだが、

必ずしも充分な介護でないとか、逆に、むしろ虐待しているのではないかといったように、

約束を守っているのかどうかの判断が難しい場合があります。

遺産分割協議書を作成する場合には、このような事態も想定して、

分割の条件を検討すべきでしょう。