特別受益の持ち戻し

生前に贈与された株式は返還したくない

父は小さいながらも会社を経営していて、その株式を全部所有していましたが、

3年前、株式のうちの半分を後継者である私が譲り受けました。

先日父は亡くなりましたが、私が譲り受けた株式は特別受益なので、

一旦遺産に戻すべきと、弟が主張しています。

こう対処せよ

「持ち戻し」はもらった財産を

実際に相続財産に戻すことではないため、

返す必要はないと主張する。

生前贈与を受けていた財産を返す必要はあるか?

譲り受けた株式の価値が微々たるものであれば、

そもそも事例の株式の譲り受けが特別受益に該当することはありません。

しかし、株式の価値がそれなりに高額で、ほかの相続人と比べて不公平な程度であれば、

特別受益として持ち戻しの対象になります。

 

持ち戻しとは、各相続人がいくらずつ相続するかを決める際に、

贈与された財産の価額を計算上遺産に加えるだけであるため、株式を実際に遺産に戻す必要はありません。

したがって、株式は譲り受けた後継者の人がそのまま保有して構いません。

 

ところで、株式のように評価額に変動がある財産の場合、

いつの時点の価額をもとに持ち戻す額を決めるかが問題になりますが、

相続開始時(つまり被相続人の死亡時)を基準とすることが裁判所の考え方であり、通説です。

 

つまり、株式を譲り受けた3年前は100万円の価値があっても、

相続開始時には10万円の価値しかなかった場合には、10万円を持ち戻すことになります

(10万円の価値しかない場合は、そもそも特別受益に該当しないとされる可能性も高いのですが)。

逆に、相続開始時には200万円に価値が上がっていた場合には、200万円を持ち戻すことになります。

なお、相続が開始してから実際に遺産分割がなされるまでの間に相当の時間がかかり、

その間に遺産に含まれる不動産や株式の価値が変動することもよくあります。

 

特別受益の有無を争う場合の注意点

「特別受益」の有無については、それのみを訴訟で争うことはできません。

遺産分割または遺留分減殺請求訴訟の中で、

特別受益があることを主張することになるため、注意が必要です。