昨年夫が亡くなった後、遺産分割をしないままでいたところ、
次男の債権者が夫の遺産である土地建物の
次男の共有持分を差し押さえてきました。
この建物には私と長男夫婦が住んでいて、差し押さえられると困ります
登記は早いもの勝ち。差押債権者に対して、
ほかの遺産で次男の借金を返済するなどして
差し押えを取り下げてもらう。
被相続人が死亡した時点、すなわち相続が開始した時点で、
被相続人に属していた財産(遺産)はすべて相続人全員が共有する状態になります。
不動産であれば、それぞれの不動産について、各相続人が法定相続分に応じた共有持分を有する、というわけです。
事例の場合は、被相続人の妻が土地建物の2分の1、
長男と次男がそれぞれ4分の1の共有持分を有していることになります。
その後遺産分割が成立することにより、相続開始のときから遺産分割の内容どおりの権利関係が
成立していたものと扱われますが、第三者の権利を害することはできません。
すなわち、遺産分割前に、相続人の共有持分を差し押さえた債権者がいる場合は、
その差押えがなかったものと扱うことはできません。
仮に妻と2人の息子が協議して、妻と長男らが居住している土地建物は妻と長男だけが相続する、という内容の
遺産分割をしたとしても、次男の差押債権者が差押登記を具備した以上、差押債権者は保護されてしまいます。
したがって、差し押えされると困る場合は、交渉によって任意に差押えを取り下げてもらうしかありません。
土地建物のほかにも現預金などの遺産がある場合は、次男には現預金を相続させることとして、
それを借金返済に充てる代わりに差押えを取り下げてもらうことも考えられます。
ほかに遺産がなければ、自己の財産で次男の代わりに借金を弁済せざるを得ないかもしれません。
どうしようもない場合は、競売手続で土地建物を手放さざるを得なくなるよりは、
任意売却の手続きを採ったほうが高く売れる可能性が高いことも考慮すべきです。
事例で、妻と長男が土地建物を相続する内容の遺産分割が成立していたのに、
その登記をしていない間に次男の債権者が差押えをしてきた場合も、
遺産分割後に登記をしていない以上、差押債権者には対抗できません。
遺産分割が成立したら、速やかに登記することが重要です