妻が亡くなり、相続人は夫である私と3人の子どもを合わせた4人です。
遺産は妻名義の土地建物と銀行預金がありますが、
銀行預金については私と3人の子どもが法定相続分通り
相続することで合意しているため、先にもらいたいのです。
相続人全員で、銀行預金のみについての
遺産分割協議書を作成する。
遺産の中には不動産や現預金だけでなく、車や株式、そして争いはありますが生命保険金などもあり、
その全部を相続人全員が納得する形で分割するのは決して容易なことではありません。
そして、そのうち分割しやすい一部の遺産についてのみ分割を合意したいという要望が出るケースも少なくなく、
特に相続税の支払期限が近づいてくると、
その支払いのために取り急ぎ一部の遺産だけ分割する必要に迫られる場合もあります。
このような一部分割も、相続人全員の合意があれば可能とされています。
ただし、その後に残りの遺産の分割もしなくてはならないため、
その際に分割済みの遺産の分け方について問題を蒸し返されたりしないよう、
分割合意した一部の遺産についてきちんと分割協議書を作成しておくべきです。
なお、残りの遺産について分割協議が調わない場合には、調停または審判によることになりますが、
審判になった場合には、一部分割の協議が一部の相続人にとって不公平な場合などに、
一部分割協議が無効とされることがありえます。
その場合には、一部分割をした遺産も含めてすべての遺産について、
遺産分割がやり直されることになってしまうのです。
なお、審判による分割の場合には、原則として一部分割はできないとされています。
一部分割はあくまで相続人全員の協議によって分割する場合にのみ可能ということです。
相続人が協議により合意すれば、遺産を自由に分割できますが、
協議で合意できない場合には、遺産分割の調停または審判を申し立てることになります。
調停の場合は合意による柔軟な解決が可能ですが、審判となると、
当事者の合意なく裁判所が遺産分割の方法を決めるため、その分割方法には制約があります。