私は、会社のオーナー社長ですが、会社株式がかなりの評価になりそうなため、
ほかの財産も含めてできれば生前に贈与してしまおうと考えているのですが、
そうすると今度は贈与税がかかるから意味がないのでしょうか?
親族などに幅広く年間110万円ずつ贈与していき、
支払いについてはきちんと資料を残しておく。
贈与をする際に、贈与税がかからないようにするためには、以下の2点に注意する必要があります。
1.贈与税の計算と基礎控除
(贈与額-基礎控除110万円)×税率-控除額=贈与税額
事例のようにそもそも毎年贈与するのが「基礎控除110万円」以内であれば、
贈与税はかからず申告の必要もありません。
この場合は、親族10人(妻、子、孫及びそれぞれの配偶者、兄弟など)に110万円ずつ贈与すれば、
1100万円までは税金がかからないのです。
ちなみに贈与税の税率は10%(200万円以下)~50%(1000万円超)となり、
控除額は0円~225万円となっています。
なお、相続開始前3年以内に贈与された財産は、相続財産に含めて相続税を計算しますが
(これを「生前贈与加算」と言います)、あくまで法定相続人に対する贈与のため、
たとえば、子の配偶者や孫に贈与したものは相続税の課税対象から外されます。
2.贈与はきちんと証拠を残す
現金の贈与の場合は、本当に5年間で550万円渡したのか、1年で550万円渡したのか、
外部からはよくわかりません。
そのため、贈与の真偽について疑いをなくすためにも、きちんと証拠を残す必要があります。
ですから、現金の手渡しではなく、預金口座振込みにするなどの工夫が必要です。
自社株の贈与であっても、110万円以内であれば基礎控除となるため、贈与税がかかりません。
株式はそのときどきの会社の経営状況によって価格が変わりますが、
価格が下がっている場合は、同じ110万円でもより多くの株式を贈与できます。
ですから、会社の経営がこの先もずっと悪くなってしまうのでは困りますが、
一時的に悪いのであれば、むしろ、「株式の贈与の機会が来た」と考えましょう。