配偶者の権利

離婚調停中の父に遺産はあげたくない

母は、父と離婚調停中だったのですが、

そのストレスもあったのか先日、急性心不全で急遽入院しました。

母の名義の土地は、母が結婚の際、その両親からもらったものですが、

これは父にも相続されるのでしょうか。

こう対処せよ 

遺産を全て父以外の者に相続させる旨及び、

場合によっては父を廃除する旨の遺言を作成する。

解説  ~婚姻が破綻していても相続人となりえるのか?~

被相続人の配偶者は、常に相続人となります。

配偶者とは、戸籍上、配偶者として名を連ねている者を指し、実質上の夫婦関係にあるかどうかは関係ありません。

つまり、婚姻届を提出して戸籍に登録されていれば、たとえ別居していようが、音信不通であろうが、

いがみ合ってドロドロの離婚裁判中であろうが、配偶者には相続権が認められます。

そして、子と配偶者が相続人であるときは、配偶者の相続分は2分の1となり、子の相続分も2分の1となります

(ただし、子が数人いれば子の分の2分の1を兄弟間で頭割りすることになります)。

したがって、このまま、母が死亡してしまえば、その前に離婚調停が成立していない限り、

事例の土地の2分の1は父が相続することになります。

 

そこで、遺産をすべて父以外の者に相続させる旨の遺言を作ることが必要となります。

また、場合によっては(廃除の理由がある場合には)、父を廃除する旨の遺言を作成します。

ところが、母は入院中で、ひょっとすると自ら筆をとって遺言を書くこともままならない状況かもしれません。

そのような場合に行うのが、「一般危急時遺言」という方式の遺言です。

これは、病気などで死期が迫った人が行うもので、証人3人以上の立ち会いの下で、

そのうちの1人に遺言者が遺言内容を口授するものです。

 

なお、内容については、たとえ、遺産を全て父以外の者に相続させる旨の遺言を書いても、

父には遺留分があるため、これも認めたくない場合には、父を廃除するしかありません

(ただし、廃除の理由がある場合でないと廃除はできません)。

ただし、離婚調停もほぼ終盤という時点で、母が亡くなったような場合には、

父からの遺留分の請求が権利の濫用に該当し、認められないことも考えられます。

そのような場合に備える意味でも、母に父が迷惑をかけたことに関する資料は、大事に保管しておきましょう。

一般危急時遺言の注意点 

一般危急時遺言は、遺言をなした日から20日以内に、証人などから家庭裁判所に請求して、

遺言の確認をしてもらわなければなりません。

また、遺言者が普通方式によって遺言できるようになった時から

6ヶ月間生存するときは、無効となります。