私たち4人兄弟のうち、末弟はすでに亡くなっていて、
先日、長兄が亡くなりました。
長兄には、妻も子もなく、 今後の先祖の墓守も含めて、
私と弟で話し合っていたところ、
その末弟の孫が 「遺産分割について話し合おう」と連絡してきて
非常に腹立たしい思いをしています。
末弟の孫には再代襲相続権がないことを主張して、
ほかにも相続権がある者がいないか調査する
相談者にとって、日頃の付き合いのない既に亡くなった末弟の孫が率先して、
相続を呼びかけるというのは人情としては甚だ不愉快でしょう。
民法上は「代襲相続」といって、
本来の相続人が被相続人より先に死亡している場合には、
その子が代わって相続人になる形態の相続が認められています。
さらに、「再代襲相続」といって、
代襲相続権を有する者も死亡している場合には、
その子や孫(本来の相続権者から見た孫やひ孫)が相続する場合も認められています。
しかし、この再代襲が認められるのは
「直系血族」つまり、被相続人の孫、ひ孫である場合であって、
兄弟のような傍系血族の場合には、代襲相続までしか認められません。
したがって、事例の孫には相続権が認められないため、
そのような者からの遺産分割の呼びかけは無視するか、
相続権がない旨を主張すれば足ります。
ただし、4男が既に亡くなっていて、4男の子には代襲相続権があるため、
慎重に相続権を有する者について調査した方がよいでしょう。
ちなみに、本来の相続権者が「死亡」した場合に限らず、
その者が「相続欠格事由」に該当する場合や、
被相続人から「廃除」されて相続できない場合にも、
代襲・再代襲相続は起こります。
相続者が「相続放棄」をした場合には代襲・再代襲相続は生じません。
代襲・再代襲相続は、金(消極財産)の相続の場合にも問題となります。
既に親が亡くなっていて、その後、借金を負う祖父母が亡くなった場合には、
その祖父母の借金を背負う羽目になりかねないため、
代襲・再代襲があるか確認して、相続放棄などを検討する必要があります。