私の父は、重度の認知症にかかっていて、
家族であっても誰が誰だか判別できません。
また、徘徊もするようになり、
悪い人に騙されて、財産を持って行かれたりしないか心配です。
そこで、成年後見を申立てたいのですが、どうしたらよいでしょうか。
一定の範囲の親族などが家庭裁判所に
必要書類を添付した申立書を提出する。
成年後見は、判断能力を欠いた常況にある者につき、
本人や配偶者、四親等内の親族などが家庭裁判所に申立て、家庭裁判所の審理を経て開始されます。
市町村長や検察官も申立権者になっていますが、実際には、親族などが申立てをすることがほとんどです。
申立ての費用としては、東京家庭裁判所の場合、
申立手数料として収入印紙800円、登記費用として登記印紙4000円、送達費用として郵便切手4300円です。
また、後見と保佐では鑑定が必要とされることが通常なため、
5~10万円の鑑定費用を予納することが必要とされます。
申立てに必要な書類としては、申立書と共に、
本人の身上や申立てに至った事情を記載する申立書付票の提出が求められます。
また、東京家庭裁判所では、申立書付票をさらに詳細にした申立事情説明書、
本人の財産目録とその資料、本人の収支状況報告書とその資料、
後見人など候補者の身上・経歴などを表す候補者事情説明書の提出を求められます
(この用紙は裁判所に用意されています)。
また、添付書類として、戸籍謄本や診断書などが必要です。
後見人が誰でなければならない、という決まりはありません。
しかし、重要な任務を担う以上、その職責にふさわしい職業・経歴の人物を選任する必要があり、
また後見人の選任も、極力本人の自己決定権尊重の理念が重視されるため、その点も考慮する必要があります。
通常は、成年被後見人本人の財産管理が重要である場合には、
弁護士などを後見人に選任するほうが適当であると考えられますが、
身上監護が重要である場合には、気心が知れた親族が適当であるとされています。
なお、複数の後見人を選任することも可能であるため、弁護士と親族といった組み合わせの場合でも問題ありません。
実際、くも膜下出血による植物状態になった方の後見人として、
夫の治療費の支払いや身のまわりのことを行うために妻が後見人に選任されましたが、
遺産分割協議や財産管理の問題があったため、弁護士も選任されたケースがあります。
弁護士のように第三者が後見人に就任する場合などは、1年程度経過後に、報酬付与の申立に基づき、
裁判所が本人の財産の状況、事務量や内容を総合的に勘定して、報酬額を決定します。
東京家庭裁判所では、申立時に申立人は後見人候補者と本人を同行し、
その場で調査官が面接調査を行うという運用をしています。
後見人候補者には、必ず同行してもらうことが必要です。